新人時代は仲間を知る期間。人間関係を先入観で決めずに取り組むことの大切さを学んだ。

地域包括ケア病棟

 
看護師になって12年になりますが、看護師になったのは母親の影響が大きいと思います。私の母も看護師で、子どもの頃はよく母の働く病院の行事に参加していました。母が患者さんと笑いながら楽しそうに話している姿、患者さんの笑顔で嬉しそうな表情の母を見て、「仕事って大変なはずなのにこんな瞬間があるっていいな」と思っていました。その後、故郷の新潟を出て、進学し、看護師になりました。新人の頃を振り返ると勉強も大変でしたが、何よりも人間関係に悩まされました。私を指導してくれる先輩がきつくて、雰囲気も怖い感じの人だったので、委縮していました。希望した小児科に配属になり、子どもと接するのが楽しかったこと、同期のみんなと励まし合えたことがその時の心の支えでした。しかし、そんな怖い先輩も、関わっているうちにとても仲良くなっていきました。新人の頃は仕事を覚える期間でもあるのと同時に、仲間のことを知る期間でもあります。そして、先輩が私を知る期間でもあります。技術、経験、考え方も違って当たり前です。先輩との関わりをちょっとした先入観だけで決めずに仕事に取り組めてよかったと思いました。不思議なことに、この歳になって、あの怖い先輩ともう一度一緒に働きたいと思うようになりました。

対等に接すること、不快な思いをさせないこと。患者さんと良い関係を築くことを大切にしたい

この病院に転職して既に7年目を迎えます。前の病院では、スタッフ同士の関わりが少なかったのですが、この病院ではスタッフ同士がしっかりコミュニケーションを取ることに驚かされました。とても、働きやすい職場です。そして、それまで経験のなかった大人の患者さんを担当するようになりました。子どもの患者さんと違い、会話をしながら看護ができます。しかし、反応は、子どもと違い必ずしもストレートではありません。仰っていることと本音が違ったりします。地域性、家族との関係、生活習慣など様々な事情を鑑みながら看護するのが難しいところですが、その難しさがだんだんと楽しくなってきました。今の職場に配属になり、患者さんの退院後の生活を見据えた看護を経験するたびに、どう進めていけばいいかもわかってきました。看護をする上で、大切にしていることは、対等に接することと不快な思いをさせないことです。対等に接するというのは、医療をわかっているという専門家として上から目線の指導を決してしないことです。好き嫌いの感情が芽生えても、嫌いにならない努力を怠らないことも意識しています。そして、基本的なことですが、髪や爪などの身だしなみに気を付け、言葉づがいも敬語やフランクな言葉をうまくブレンドしながら、不快な思いをさせずに、最も良い関係性を保つためにどうすればいいかを意識して関わるようにしています。

後輩と共に成長する姿勢を持ちながら、患者さんに笑顔になって頂く瞬間を作っていきたい

これまでの職場ではベテランの看護師たちが多い職場だったので、指導的立場を経験したことがありませんでした。教育委員として研修の機会などで経験年数の少ないと接する程度でしたが、今後は後輩の指導をしっかりとやってみたいと思っています。性格的には、ビシッということができない、叱ることが苦手だと思います。だから、無理にそういう風に指導するのではなく、先輩風を吹かさず、対等に接していけるようにしたいと思います。ただ、伝えるべきはしっかりと伝えられるように、もっと広い視野で物事を捉え、深く考えられるように知識やスキルを身に着けていかなければならないと思っています。特に、患者さんとの接し方と関わり方に正解はありません。磨いても、磨いても、自分はまだまだだと感じるだろうと思います。一緒に成長していく気持ちを持って、後輩たちも接していきたいと思います。母が患者さんと楽しく会話していたように、根本には私も患者さんと楽しく会話をし、患者さんに笑顔になって頂く瞬間をたくさん作っていきたいです。