「自分ではなく、患者さんが中心なんだよ」の先輩の言葉のおかげで看護が楽しくなり始めた

脊髄外科

 
小学生の頃の作文に看護師になりたいと書いていたよと母親に言われたことがありますが、気づいた時には看護師になっていたというのが、この仕事についたきっかけと経緯です。でも、昔から人の役に立ちたい、人の役に立てる人でありたいという気持ちが根底にあったことは間違いありません。そんな私ですが、新人看護師の時は、正直言うと辛くて辞めたい衝動に駆られることが何度もありました。それは自分に余裕がなく、しっかりと仕事ができていなかったからですが、そういう自分に対して先輩も厳しかったので当時は追い詰められていたような気がします。実際に私の仕事のやり方というと、自分中心に物事を捉え、進めていくというものでした。厳しいと感じた先輩の指導は、余裕がなく、自分中心に仕事を進めている私を正そうとしてくれているものでた。「自分ではなく、患者さんが中心なんだよ」と先輩に言われたことを頭でわかっているのに、現実には違うことをしている自分に気づき始めたように思います。それからの私は、徐々に、看護の仕事が楽しくなり始めました。プリセプターを任され、新人の指導を通じて、患者さんを見る視点も増え、患者さんを取り巻く環境、特にご家族の思いなども含めて全体を意識して行動できるようになってきたと思います。

近くにいて、一言にあるニュアンスを感じることが、患者の立場に立った看護ができる礎

この仕事の魅力は、患者さんとの関わりにおいて、初めは患者さんの辛い表情や状態から始まりますが、私たちが関わった後に、患者さんの笑顔や元気な姿を見ることができる喜びを感じることができることだと思います。私が看護をする上で大事にしていることは、患者さんの思っていることをできるだけ正確に汲み取ることができるようにお話を聴くことです。私たちの仕事は決してゆったりとできる仕事ではありませんが、ただ決められた処置をするだけでは、患者さんが何を思っているのかはわかりません。だから、効率よく業務を進め病床にいる時間を少しでも長く取れるように、できるだけ患者さんの訴えや思いを聴くことができる時間を取れるように工夫しています。工夫して作った時間は大切な時間です。だから、患者さんが話しやすいような雰囲気をつくるように心掛けています。私の場合は、腰をかがめて、顔を近づけて、視線を合わせるようにしています。遠くから見るからこそわかることもありますし、逆に、見えないこともたくさんあります。近くにいて、言葉の一言ひとことにあるニュアンスを感じながらコミュニケーションを図るようにしています。患者さんは一人で一日の長い時間を病床で過ごされるので、少しのコミュニケーションであっても喜んで下さることを実感しています。口角が上がり、表情に笑顔がこぼれると、私も気分が乗って話をしてしまいます。そういうコミュニケーションが患者の立場に立った看護ができる礎なのでとても大切にしています。

この病院への再就職!それは、一緒に、もっと患者さんのためになる看護をしたかったから

私は、一度、新卒で入職したこの病院を退職しています。その後、2つの病院を経て、この病院に再就職しました。それには二つの理由があります。一つ目は、もっと患者さんのためになる看護をしたかったからです。新人の頃、この病院で先輩に厳しく指導を受けたように、患者さん中心の看護を追求したいと思ったからです。そして、これから一緒に働く人たちが私を受け止めてくれ、戻って来たいと強く思ったからです。実際に、職場のメンバーは、私と前向きに一緒に考えてくれるし、みんなで頑張ろうと励ましてくれます。そんな有難い職場を得た私ですが、仕事と家庭の両立が一番の課題です。同じ課題を抱えたメンバーもいます。子育てをしていると、職場以外のいろいろな面で責任が大きくなります。だからこそ、今後は、自分だけでなく、メンバーのみんなも働きやすい職場にできるように努力していきたいと思います。そのためには、やはりコミュニケーションが大事だと思います。とりわけ、患者さんの変化についてお互い情報提供しやすいような雰囲気をつくることを意識して、患者さんに適した看護を提供し、みんなで喜びを分かち合える職場にしたいと思います。そのためには、ある程度の冗談が言い合える関係性を築いていきたいです。