スタッフ同士が声を掛け合い、気に掛け合い、適度にリラックスした状態で仕事ができるようしたい

主任

 
今、主任という立場にいて、職場づくりを考える上で心掛けていることは、少なくともスタッフ同士がギスギスしないような雰囲気で働けるようにすることです。来院された患者さんは、診察、処置、入院・・・と様々なシーンで不安を抱えられているので、私たち看護師が良い状態で接することができるようにするためには、スタッフ同士が協力し合えることが大切だと考えています。だから、私はスタッフに対して笑顔で明るく接し、スタッフ同士が声を掛け合い、気に掛け合い、適度にリラックスした状態で仕事ができるように工夫しています。そのためには、その日、その時間、スタッフの状態を理解し、一緒に課題について考え、フォローするようにしています。ただ、何でもかでも手伝うというのではなく、見守ることも本人の成長を考えれば大事なことと認識しています。特に、経験の浅いスタッフについては、足りていないところに目が行きがちですが、まずは「それでいいんだよ」というところを見つけて、評価し、患者さんと関わる中での変化を共に感じ、自分の看護について充実感や達成感を感じてもらえるように配慮しています。その上で、自身の抱える課題に対して自ら意識して、取り組み、看護の楽しみを見つけられるように成長を応援していきたいと考えています。

認知症の患者さんのそれぞれのこれまでを知ることで、良い関係性が築ける認知症看護の喜び

認知症看護の認定看護師になって1年が経ちますが、周囲からもその専門家という眼差しで見られますし、私自身もしっかりとした仕事ぶりを見せないといけないなという風に思っています。十数年、外科領域で看護をしていましたが、今後のキャリアを考える上では、認知症をテーマに看護を考えたく、現在は、地域包括ケア病棟でチャレンジを続けています。患者さん、特に高齢の方が自分らしく過ごせるにはどうすればいいかというのがテーマです。認知症の患者さんと接することで学んだのは、患者さんと自分との間にはまるで鏡が存在するかのようです。私がイライラすると患者さんもイライラし、私が真摯に向き合うと患者さんも真摯に向き合って下さるということが多々あり、常に自分の看護がダイレクトに試されるのが認知症看護の興味深いところです。これまで、私は、患者さんに失礼なことをしていたのではないかと思うことも多々ありました。風呂に入ったり、体を拭いたりする行為は清潔にすることが目的なので、ご本人が嫌がっても何が何でもしなければならないと認識していました。しかし、それは、必ずしも、良い行為とは言えないと。看護をする上で患者さんをよく知ることが大切です。患者さんは認知症になる前は、何をしていた人か、どういう言葉をよく使っていたか、どういう癖があるのかを知っていくと、例えば、私たちが徘徊と認識していることも、実は徘徊ではなく、そのように行動する明白な理由があることがわかり、患者さんと私たちの関係性に変化が出てきます。一人ひとりの患者さんは皆違うので大変ですが、一方でそこに着目して関わることで良い関係性を感じることができるとこの仕事に大きな喜びに遭遇します。

スタッフの良い経験を共有して、地域包括ケア病棟の看護のやりがいをもっともっと高めていきたい

患者さんが自分らしく過ごせるということについては、スタッフも一生懸命考えて看護してくれています。患者さんが何を以って自分らしく過ごせるのかという評価については、とても難しいので一概に決めることはできませんが、最も大切なことは、スタッフと患者さんが良好な関係性の中で、楽しくやり取りしているとだと思っています。そういう様子を見るとスタッフにとってもこの仕事を通じて充実感を感じているのだと感じることができ嬉しい気持ちになります。高齢の認知症患者の方は、トイレに行ったきり帰ってこられなかったり、食事についても間違って隣の方のものを食べてしまったり、また、点滴をしていても針を抜いてしまったりと、様々なことがありますが、それらに対して問題視し、否定をするのではなく、対応の仕方をそれぞれのスタッフが、それぞれの患者さんに対して工夫することで、患者さんが穏やかに過ごせるようになります。穏やかに過ごせるということは、患者さんが抱く違和感が少ないということだと思います。そんなスタッフに対して私は評価したいですし、それぞれの良い経験を共有し、職場で活かし合い、地域包括ケア病棟の看護のやりがいをもっともっと高めていきたいと思います。