「ナースコールを押さなくてもいい」関わりを目指して

泌尿器科・眼科・皮膚科混合病棟(3北病棟)
田村 頼子

 夜勤で術後室担当だったA氏の関わりを振り返りたいと思います。A氏 50代は尿管結石で初回手術当日でした。耳鼻科、泌尿器科含め、前日入院し翌日に手術の流れです。申し送りで、A氏は17時の酸素中止であったが、ナースコール対応で時間に行けず17時15分頃にナースコールあり入室。「いつまで(酸素)やっているんだ。もう止めていいんじゃないの?」と表情険しく口調も粗く話される。こちらの状況はともあれ時間通りに訪室できなかったため「他の患者さんの対応で遅くなり申し訳ありませんでした。本日の担当は田村です。宜しくお願いします。早速酸素はずして、全身状態チェックしますね」検温中、付き添っている妻より「文句ばかりですみません」と言われたが、A氏の丸顔で人懐っこい印象を受けたのでとっさに「手術のあとは痛みや制限が多いのでイライラする方は多いですよ。私は何十年患者さんを見ているので、Aさんは今言った後ちょっと言い過ぎたな・・と思っているはずです。優しい顔しているから私には分かります」と言いました。A氏は「そんな風に思ってないよ」といいつつも、表情とその場の雰囲気が和らぎました。その後、18時~飲水可能にて時間になったら訪室すると説明。タイマーをかけ、冷水(氷片入り)持参し時間通り訪室すると、驚きの表情をしていました。どこかのセリフではないですが、「私2回目は失敗しないので」と言った後、飲水の介助をしました。「冷たいと飲みやすい。ありがとうよ」
 術後だけではないのですが、【ナースコールを押さなくてもいい】関わりを目指しています。その為には、次に何が必要か、どうして欲しいか等考えて、事前準備をしています。術後は科によって違いますが、泌尿器科は安静であっても翌日朝食は端座位で摂取・内服開始となり、結石などは翌日となります。例えば朝食セッティングにしても、端座位になってもいいようにバルン配置、点滴棒準備、バイタルにより抗生剤や点滴の調整(翌日午前退院などにて、早めに抹消抜去のため)、座位時に気分不快の有無、時にベッドアップ、自室にある内服や口腔ケアセットなど準備すると、1人でも意外と時間がかかります。術後は特に臥床時間が長いため、「起きたい、座りたい、腰が痛い」と良くきかれます。
 A氏は腰痛があり、痛みに対し弱い印象を受けました。不安があれば痛みにもつながるため、状況を見ながら明日のスケジュールや楽な体位交換方法など説明しました。また、少しでも苦痛がないように配慮し翌日は退院されました。その後、奥様より感謝カードを頂き、また翌週も結石OPEにて入院時会うと、「よう!また手術だよ。よろしくな」と声をかけられました。これからも、自分の看護にプラスになる事は取り入れていくために、この一場面が励みになりました。