同じ経験をしている強み

整形外科病棟(4南病棟)
田村 愛子

 「同じ年頃のお子さんがいらっしゃる看護師さんがいて良かった」「ママさん看護師がいてホッとします。」と時々親御さんから声をかけられることがあります。私の働いている整形外科では突然のケガなどで小学生、中学生、高校生などの未成年の患者さんも少なくありません。特に未成年の患者さんは、ほとんどが初めての入院、初めての手術、初めての車いす、松葉杖、荷重制限など全てが初めての事が多く、親御さんもお子様のそのような状況が初めてであり、どうしたら良いのか戸惑っている姿が多々見られます。また、思春期の患者さんは親御さんに「べつに」「大丈夫だし」「もう帰っていいよ」「うるさいな」などと話す事もあり、不安を言葉にしないお子様を心配して「本当に大丈夫なんでしょうか。」「痛くはないんですかね」とこっそり聞いてこられる親御さんもいらっしゃいました。
 私は丁度子供が同年代であり、整形の手術、リハビリ、突然のケガなどの経験がある為、親御さんの心配な気持ちがよくわかります。また思春期の「べつに」の意味も「本当は不安なんだ」の裏返しの言葉だという事もわかっています。私の子供が退院後、入院生活を聞いたときに「恥ずかしくてトイレに行きたいと言えず、足をひきずって頑張って行った。そしたら足が痛くなったけどナースコールを押すことが嫌だった」と話していたことから、意識的に訪室し声をかけたり、痛み止めをすすめたり、トイレに誘導したりと関わるようにしています。
 親御さんには面会時間外での様子を来院時に伝えるようにしています。夜間巡視をすると、手術前眠れずずっと起きていたり、涙ぐんでいたりと1人で頑張っている姿がありました。また手術後も痛いと言えず、トイレに行きたいと言えず、取りたい物があるけど言えず耐えている患者さんがいます。その頑張りを親御さんに伝える事、また何も言わないけれども、親御さんがいると表情が和らいでいる事、私が見て感じた事をそのまま伝えるだけなのですが、親の立場だったら知りたいのではないかと思う事を伝える事で「良かった」と言ってもらえるのは、私が同じ経験をしたからなのだと思います。