勤め続けられるのか不安だった私が、リーダー業務を始める頃に看護の楽しみを見出せるようになった


透析室

 
私の母は少し体が弱く、よく入院していました。親戚の人たちから、「いつかはお母さんの世話もしないといけないから、看護師という職業がいいのではないか」と勧められ、高校生になり看護科に進学していました。看護師に憧れてなったというより、周りに勧められてなってしまったというのが本当のところです。今、21年目を迎えて、振り返るとこの仕事に就けて良かったと思っています。ただ、新人の頃は、ふがいない気持ちでいっぱいでした。できないことが多く、役に立っていないという気持ちで、こんな状態じゃ勤め続けられないと思っていました。しかし、徐々に一人でできることが増えていき、2年目から3年目になると、他の人の手を借りることなく、だいたいのことはできるようになっていました。リーダー業務をやり始める頃には、自分自身の業務だけではなく、スタッフを仕切ることもできるようになり、全体を見ることができるようになったことで、看護師の仕事に自ら楽しみを見出せるようになってきました。

「プロなんだから察してほしい・・・」。五感をフルに使い、配慮を忘れない看護を大切にしたい

患者さんは思いをいつも的確に言葉にして下さるとは限りません。看護をする上で大切にしていることは、表情やしぐさを読み取れるように、五感をフルに使って観察することです。透析室で勤務をしていますが、透析を受ける患者さんは、太い針を2本ずつ穿刺します。それは、とても痛い処置で、麻酔のテープを使いますが、ほとんど気休めにしかなりません。そして、3~4時間の間、ベッド上でじっとしていなければなりません。そういう処置を受ける患者さんが週3回程度来られます。とても辛い治療です。ある日、患者さんに「あなたはプロなんだから、自分から察してほしい」と言われたことがあります。ハッとさせられました。そして、「難しいことだけけれど、その通りだ」と納得し、努力をするようになりました。例えば、簡単なことでいうと、患者さんが布団を掛けなおしたら、寒いのかな?眉間にしわを寄せたら痛いのかな?と・・・「寒いですか」、「痛みますか」とこちらから察して、言葉にして、患者さんに問いかけてあげる配慮のことだと思いました。患者さんは辛い治療をしているので、私たちに気を遣わせず、むしろ、私たちが常に五感を使って配慮を忘れずケアするということを大切に看護したいと思っています。

私たちとの関わりを楽しみにしてもらい、少しでも治療の辛さを和らげる存在になりたい

この仕事をしていると「ありがとう」と仰って頂く機会が多く、とても励みになる瞬間がたくさんあります。中でも、「今野さんが来てくれてよかった」と言われる時は、本当にうれしい気持ちになります。週に3回ほど通われる患者さんとの信頼関係が築かれていないとこのような言葉は頂けないと思うので、自分の患者さんとの関わりに喜びを感じるだけでなく、仕事に対する自信に繋がります。だからこそ、太い針をできるだけ痛くないように、辛くないように、また、失敗をしないようにするにはどうしたらいいのかということについてが、私の知識や技術を向上させるのが当面のチャレンジ目標です。そして、患者さんにしっかりと向き合い、痛くない処置ができるように工夫していきたいと思います。将来的には、うまく時間を作って、認定看護師を目指したいとは思っています。患者さんは透析そのものが嫌だと思うのは当然ですが、どうせ病院に来なくてはならないのなら、私たちとの関わりを楽しみにしてもらい、少しでも治療の辛さを和らげることができる存在でありたいと思います。