「母親みたいに思ってもいいよ」というプリセプターに支えられ、仕事に喜びを感じるようになった

消化器外科内科

 
看護師になった動機が何だったのか具体的には覚えていませんが、人の役に立つ仕事の中で選択したように思います。この病院で働きだした頃の私は、鹿児島県の出身ということもあり、言葉の違いによるコミュニケーションの大変さを感じたり、ホームシックになったりと少し苦労したことを思い出します。それ以上に、看護師の仕事が大変でした。学校で学んだことが実践の場ではなかなか通用しませんでした。例えば、注射をする時、患者さんに痛い思いをさせたくないという気持ちが強く、その緊張感で自信を持つまでにかなり時間が掛かりました。日々の勉強についても、何からどのように勉強していけばいいかわからない上に、学んだことを理解するのに時間が掛かる始末でした。そんな状態の私に対して、プリセプターの先輩は、「母親みたいに思ってもいいよ」と言いながら、休日に一緒に勉強し、どこをどう勉強したらいいかを指導して下さり、私がわからないまま実践することを怖がっていることもきちんと理解して丁寧に指導して下さいました。そういう指導を受ける中で、少し余裕もでき、患者さんに気になるニュースについての話や、世間話を自分からできるようになり、患者さんから気分転換になったと褒められ、プライベートな話をしてもらえるようになりました。少し元気な表情をされるのを見るたびに、これも看護なのかもと思えるようになり、看護師の仕事に喜びを感じるようになりました。

今よりも良い状態になってもらうことを心掛け、得意の「洗髪」で患者さんの笑顔を増やしたい

私が看護をする上で大事にしていることは、患者さんにとって今よりも良い状態になってもらうことを心掛けて行うことです。快の刺激を与え、気持ちが前向きになるように工夫をして関わり、患者さん自身の治癒力を高めるような看護を常に意識しています。自分自身がケアする時に、少しでも苦痛が゛少なくなってほしいとの思いから、それはどうすればできるのかということを日常的に学び、学んだことを活かして考え、実践するようにしています。今は、注射や点滴に対しては自信をもって行うことができますが、それでも細心の注意と配慮を怠ることはありません。また、先輩からよく何か一番だと思えるものを見つけなさいと指導・助言を頂きました。それは、自分の仕事を特徴づけるものですし、自信の一つになるのでチャレンジしています。私は、洗髪を強みにしようとしています。入院患者さんは毎日入浴することはできないので、病院での生活でも爽快感を持って過ごしてほしいという想いから始めました。自分が美容室に行った時に美容師さんにコツを教えてもらったり、自分の頭で試したりしながら、その力加減などを研究しています。患者さんからは気分転換になり、病気を治す気持ちが高まったなどと言って頂き、とてもやりがいを感じています。遠慮がちな患者さんにも「試してみませんか」とお勧めして、洗髪の後にいい笑顔をして下さった時は最高の気分です。

患者さんの治癒するプロセスへの関わりや人生経験の話が私に大きな力を与えてくれる

育児が一段落するまでは、新しいことへのチャレンジよりも、看護師の仕事と私生活の両立を図った上で、看護師の仕事を少しでも充実させていきたいというのが本音です。ただ、消化器系の仕事をしているのでストーマについては極めていきたいとは考えています。この仕事の魅力は何と言っても人間の治癒力に触れ、そのプロセスに関わることができるということです。例えば、全身麻酔で手術をした患者さんが、次の日には普通に歩き、挿入していた管が短期間のうちにどんどん外れていき、退院されるという患者の回復力に驚かされ、その都度嬉しい気持ちになれるのは看護師だから経験できるのではないかと思います。また、色々な年代や職業の患者さんと接することができ、たくさんの人生経験をお聞きすることができるので、それが看護に活かせるだけでなく、自身の人生を考える上でもとても大きな力になるというのも魅力です。このような臨床の魅力は看護学生に臨床指導の場で伝えていきたいと思います。この病院で働いて14年になりますが、上司や同僚に支えられるだけでなく、いい情報もよくない情報も気兼ねなく言い合える人間関係があるので、チームワークがいい状態で仕事ができるのがとても有難いことです。