師長の仕事は、目指す看護を考え、スタッフの成長や将来を考えるのが魅力

師長

 
主任をしていた時の私は、「師長って大変だろうなあ」と思っていました。もちろん、主任も責任ある立場ですが、やはり責任者として一つの部署を運営していくということの重圧はかなり大きいものだろうと感じていました。そんな私が、師長になり、ちょうど1年半が経ちました。師長になってからの私の変化は、スタッフ一人ひとりとのコミュニケーションに対して軽々しさが減ったと思います。私の言葉が自身で感じている以上に影響力があることを感じます。具体的には、スタッフ一人ひとりの今後のこと、看護職として成長について考える真剣さの度合いが大きくなったと思います。ただ、それが大変かというと、大変な部分がないとは言いませんが、師長という仕事の魅力につながっているというのが実感です。病院という大きな組織の中にあって一つの部署を運営していく際に、その主人公であるスタッフの成長や将来を考えることは、そのまま私たちが提供する看護の質の向上にもつながります。師長になるまで、経営のことは考えたことがなかったですが、稼働率も含めて自分たちの目指す看護を考える上では師長という仕事に魅力を感じています。実は9年間看護学校で教員経験をしてきたので、人を育てるということを考えるのは興味がある分野です。ラダー面談においても、スタッフの想いを引き出し、本人の将来を考えて、キャリアデザインを提案するようにしています。

「あなたの看護はどんな看護?」・・・自分で考え、実践して得た成功経験を支援したい

私は、看護師の仕事の魅力は、以下の三つのことだと思っています。

  1. 入院生活という日常と異なる生活の中にあって、私たちの関わりや工夫で患者さんが自分らしく過ごせる時間や空間を創り出すことができること。
  2. 自分が関わった患者さんが元気になっていく姿を見ることができること。回復できず、お亡くなりになる患者さんに対しても、その人らしい最期に対してお手伝いができること。
  3. 年齢、性別、職業、家族構成、価値観など様々な患者さんとの関わりの中で、学ぶこと、学ぶ機会が無限にあり、人として成長できる機会を得ることができること。

これらのチャンスを活かし、自身の仕事が成果となっていくプロセスにやりがいが見いだせるのだと思います。そこで、私は、スタッフたちに「あなたの看護はどんな看護?」という質問を投げかけるようにしています。つまり、患者さんへのケアについてどう思っているのか、どうしたいのか、なぜなのか、どのようにすればいいのかといったことについてコミュニケーションします。自分で考え、実践したことが、患者さんの満足に繋がる成功経験こそが私たちの喜びで、その喜びをつくるには、やはり、自分で考えるということを避けて通ることはできません。もちろん、すべてのスタッフが上手く答えられるわけではありません。例えば、歩けるようになった患者さんが帰る場所はどんなところで、それならどうしたらいいと思うか、どう関わるかといったようにスタッフが具体的に考えやすいように質問をし、そういうコミュニケーションを繰り返す中で考える楽しみを掴んでいってもらいたいと思っています。

実践した看護のロールモデルを共有し、日常的に学び合い、向上心ある職場をつくりたい

私の職場は、ベテランが少なく、若手と中堅が多く、経験年数が低いスタッフが多いです。業務的な仕事に流されずに、立ち止まって患者さんに対するケアを考える風土にしていきたいと思います。そのためには、患者さんに対するチーム医療が大切になってくると考えています。チーム医療は現在も実践していますが、今後は看護師が多職種との連携についてもっと主体的に関わっていくことが大切だと思っています。患者さんお一人おひとりは、症状、入院の経緯、生活の背景、性格など皆さんそれぞれ違います。適切な援助をどうすればできるかについて、単に看護師業務の範囲で考えるのではなく、多職種との連携の中でどのように道筋を作っていけばいいのかを管理者が提示するのではなく、スタッフ自らが自身で考えることができる部署にしていきたいと思います。そのためには、若手・中堅のスタッフが実践した看護についてロールモデルとして共有し、それぞれが日常的に学び合える仕組みを作り、お互いがさらなる向上心を持てるようにしていきたいと思います。