相手に与える印象と安心感を考えて

地域包括支援病棟(2北病棟)
三浦 かえで

 私には、特に得意なことも自慢できるような特技も持ち合わせてはいない。しかし、患者と接する際に意識して気をつけていることはある。それは、笑顔で対応することと、目線を合わせて話すことである。これは人として、医療者として、出来て当たり前のことかもしれない。しかし、長い入院生活を過ごしている患者にも、少しでも笑顔で過ごしてもらいたい、自分の元気が少しでも患者に入院生活のパワーになってくれたらいいな、そんな思いで看護に取り組んでいることにつながっているのである。
 私が2北病棟に配属されて間もない頃、私が訪室するたびに「私がこの病院で初めて名前を覚えた看護師さん」としてご家族に紹介してくれるほどの患者がいた。私自身がその患者に特別何かをした訳ではないけれど、転職して不安だらけだった私に、その言葉は勇気と元気を与えてくれ、毎日が嬉しく楽しかった。多数の医療者が働き、一病棟には多数の看護師が勤務する中で、良い意味で患者から名前と顔を覚えてもらえる喜びは、私にとってかけがえのない宝物に等しいと感じている。
 笑顔で対応することは、患者にとっても自分にとってもプラスになると考える。人が受け取る情報は視覚が8割と言われているが、それだけに表情が相手に与える影響は大きいということである。毎日のように担当看護師が変わる患者にとって、今日の担当看護師は誰だろうと思うし、その時に第一印象は笑顔であった方が、患者も安心してくれるだろう。また、イベントが重なって内心焦っていたとしても、自分が笑顔でいれば気持ちの切り替えみたいなものが出来て、落ち着いて対応できることもある。焦っていても怖い顔をしていると、患者に不安感を与えることにもなるので、笑顔でいることを心がけている。
 患者は入院生活が長くなるにつれて、不満やストレスも溜まってくる。そんな中で少しでも患者が愚痴や思いを話してくださるときには、しっかりと目線を合わせて相手の話を傾聴する。ただ話を聞いてほしいだけだったとしても、何を伝えたいのか、何を感じて過ごしているのか考えながら話を聞く。時には、発語が聞き取れずに何を言っているのかさえも分からない時や、話の内容があっちこっちに行き過ぎて結論がわからない時もあるけれど、目線を合わせて相槌を打つことで、話を聞いてもらえているということは相手には伝わるし、それは安心感にもつながると考える。
 私達看護師は、看護技術的なことも含めて患者の安全安楽を第一に看護の提供を行っていくものであると考える。しかし、その前に人として、看護師としてまずは患者に安心感をもっていただけることが大切であると考える。そのためにも、笑顔で対応することと、目線を合わせて話をすることを私は大切に、患者・家族と関わっている。