新型コロナウイルス感染症と向き合って看護していくこと

外来統括外来 江頭 直子

 今年に入ってから新型コロナウイルスの影響によって今までに経験したことのないような生活環境の制限が私達の生活に変化を与えた。あたりまえのように友達と会っておしゃべりしたり、仲間と食事を楽しんだり、みんなで大きな声で笑ったり、そんな普通の事ができなくなった。病院においても発熱患者は通常では診療できなくなり、診療すら断る医院もある。そんな中、こうかんクリニックでは、今現在も発熱患者の感染対策を行いつつ、診療が無事できていることが有難いことのように思える。

 こうかんクリニックは地域密着型で、小児から成人になっても、また親となって子供も含め家族で継続的に通院されている方も見られる。鋼管病院やこうかんクリニックのスタッフが親近者のような関係になっている患者さんも見られる。近年さまざまな新型ウイルスの脅威にさらされ、私達医療者もその中で仕事していく葛藤や困難に多く直面している。しかし、どのようなウイルス感染症の患者であっても私たちの行っていく看護は変わらないと思っている。発熱外来が始まった当初、患者さんは不安そうな表情をしたり、苦しそうな様子の患者さんも見られたが、その中でも私たちに「大変な仕事ですね。」「ありがとうございます。」など温かい言葉を頂いたこともあった。新型コロナウイルス感染症が特別なのではなく、患者の今つらいと思うことは何か、病気によってどのような状態にあるかを的確にアセスメントし、医療スタッフと協調しながら関わっていくことは変わらないことである。私達、医療者の仕事は特別変わらないのに世の中の人に今までになく多くの感謝と励ましや頂き物も受け大変有難いことである。ただ、今までと少し異なってしまうことは、いつもよりコミュニケーションを取りづらい状況となってしまっていることである。会話も必要最小限となっているが、せめて気持ちだけでも患者さんに寄り添った看護が伝わるよう心がけていきたいと思う。

 まだこの状況は続いていくのかもしれない。さまざまな職場の会議や研修会などもほぼ中止になって、多くの人と直接集まる機会も減り、いろいろな場での従来のやり方にも見直す機会を試されているのかもしれない。しかし、今の困難も前向きにとらえ、いつかこの状況を振り返る日には‘あの時はこんな事は大変だったけれども今こうしていられて有難いし、こんな気づきもあったよね’と振り返れる日がくるといいなと感じている。また、この状況が収まった頃には研修会などの再開ができれば、効果的な患者指導について、コミュニケーションの良好なとり方など参加し、基本に戻り深めていきたいと思っている。そして、新型コロナウイルスで亡くなられた方を弔いつつ、みんなが以前のように対面で笑いあえることを願っている。