日常的な動作を観察し、言動に耳を傾けることで、患者さんそれぞれに適した看護が見えてくる

一般整形・スポーツ整形

 
私は、いわゆる「おじいちゃん子・おばあちゃん子」でした。お年寄りに関わるのが好きだったので、お世話ができる仕事に就きたいと考えていたところ、高校時代の先生に奨められ、看護師の道を選びました。初めは、業務や時間に追われて想像以上に大変でしたが、経験を積むにつれて、自ら工夫して関わる時間をつくれるようになっていくと、この仕事はとても楽しいと感じるようになりました。私が、仕事をする上で大切にしていることは、患者さんの思いを中心に考えて看護を提供するということです。自分ではしたいけれどできないということを、すぐにしてほしいと言える人、少し遠慮がちにしてほしいという人、我慢してなかなか言わない人と様々な患者さんがいらっしゃいます。それに対して、アセスメントした情報に加えて、日常的な動作を観察し、言動に耳を傾けることで、私の方から患者さんがしてほしいと思っていることを察して、話し掛けて、お手伝いさせて頂くようにしています。例えば、患者さんの体を拭く時、自分で拭きたい患者さんにはタオルを渡し、そうではなく拭いてほしいと思っているんだろうなという患者さんにはこちらからお声掛けして拭くようにします。また、自分で拭きたいと思っている患者さんでも、拭けていないところがあると気づいたら、同じようにお声掛けをして拭くようにしています。このようにちょっとしたコミュニケーションの積み重ねの中で、患者さんそれぞれに適した看護が見えてくると感じています。

認知症の患者さんに、どうすれば安心して過ごせるのかをチーム全員で取り組んでいる

これからの時代、高齢者が多くなり、認知症の患者さんとの関わりが増えてくると思います。認知症と一言で言っても、初期の軽い症状の方から強い症状の方までそのレベルには様々な段階があります。私たちの関わりの中にも、認知症のため、興奮したり、不穏になってしまったりする患者さんも当然いらっしゃいますので、ラウンドする際には少しの時間でも病室に立ち寄る回数を増やして関わりを持つようにしています。当院の認知症ケアチームは、薬のことだけでなく、表情や行動の観察の方法、言動に対する対応の方法について指導・助言してくれ、関わる気持ちに余裕を持つことの大切さを教えてくれました。表情からトイレに行きたいんだな、あるいは、寂しい気持ちになっているんだなということがわかってきます。患者さんは、自分を理解してほしい、その状態で関わってほしいと願われているので、一人の看護師だけで関わるのではなく、病棟の看護師みんなで、患者さんの様子に関心を持つようにしています。患者さんの様子を共有することで、手が空いている看護師がすぐに関わることも可能になります。関わりを後回しにして、寂しい思いをさせ、不安な気持ちにさせないようにチームで意識するようにしています。患者さんが落ち着いた状態でご自宅に、あるいは、施設に帰ることができるように、その人がどうすれば安心して過ごせるのかということをテーマに取り組んでいます。

後輩たちの指導も頑張り、新たな学びとこれまでの経験を組み合わせてまだまだ成長したい

私も、9年目の中堅看護師なので、後輩たちをしっかりと指導できるように成長していきたいと考えています。具体的には、相手がどんな風に受け止めているのかを確認しながら指導を進めていきたいと思います。経験の浅い看護師は、指導は受けているが、理解していないまま業務だけが増えて忙しいという状態になりがちなので、「今の説明でわかった?」という問いだけでなく、「次はどうする?」と考えさせることで、行動レベルで理解できるような指導を心掛けたいと思います。それで間違っていれば、その人その人の特性を考えて、違う言葉や方法で指導していきたいと思います。この病院で働いてよかったと思えるのは、患者さんの数が多いので、それだけ疾病についての数も多く、それぞれの人間性にも違いがあるので、看る人の幅が広いので看護師としてはとても多彩な経験ができるということです。今いる職場は整形外科という、もともとは全く興味がなかった分野だったのに、勉強してみると身になることが多く面白いです。高齢者も多く、元気になるプロセスに関わることができ、リハビリを通じてADLが上がっていくと、とても嬉しい気持ちになれます。また、合併症の患者さんに対しても、内科時代の経験が活かせるので、新たに学んだことと、これまでの経験を組み合わせて看護が提供できることが楽しいです。