自分の家族が入院時の気持ちになって、患者・家族の目線で考えることを大切にしたい

手術室 主任 

 
子どもの頃、祖母が入院した時に「看護師さん、かっこいいなぁ」とユニフォームを着て働く女性に憧れを感じたのが看護師になろうと思ったきっかけです。大好きな祖母を家で看取りをしていたことが根底にあるのかも知れませんが、看護師になってからは、患者さんが入院された時には、自分の家族が入院したらどうしてもらいたいかといった患者・家族の目線で考えることを大切にしています。手術前の患者さんは不安でいっぱいです。「質問はありませんか」と問うても、何を質問したら良いのかわからない方もたくさんいます。「何針縫うのか?」「終わったらどうなるのか?」といった不安を取り除く配慮を心掛けています。術前訪問は、手術に関わる話を説明するための訪問ですが、説明をしに行くというよりも「お話に来ました」という感覚で、私が患者さんの知っている人になれるように関わっています。手術の時に「知っている人だ」と思ってもらえるだけ安心される患者さんはたくさんいます。こうして、看護師生活を送ってきましたが、楽しく仕事をしているので、私の選択は間違ってなかったと思います。

先輩・後輩に関係なく、声を掛け合う、助け合う職場風土を大切にしていきたい

手術室では主任という立場にいるので、職場の雰囲気は気に掛かるところです。私たちの職場のイメージは、手術室という名称からも空間的に閉鎖的で暗いイメージがあるようですが、実際はとても明るい職場だと思います。師長の人望によるところはありますが、声を掛け合う、助け合う、フォローし合うといったことを大切にしています。それは安心・安全を守りつつ、事故がないようにすることを前提に、先輩・後輩に関係なく、専門的知識や技術については最低限同じ水準となれることを意識しています。若いスタッフの場合、医師や他職種との関わりの中でプレッシャーを感じる人もいますが、彼らが話しやすいようにフォローし、間に入って良いクッション材になりたいと思っています。また、世代の違いというのは感じますが、「今どきの」といった言葉はマイナスのニュアンスでは使わないように意識しています。世代間にある考え方の違いを認め、若い人たちも考えていないわけではないですし、私たちの価値観を押し付けないように配慮しています。ただ、言葉づかいや電話対応、メモの書き方・伝え方など世代を越えて必要な社会人としての常識についてはしっかりと指導していたいとは思っています(笑)。

教え合い、学び合える職場、離れたいという人が一人もいない「幸せな手術室」を目指したい

病院が新棟を建てますが、新しい手術室ができる頃には術後疼痛管理チームで活動を手術室のスタッフが全員出来るようになればいいなと思っています。視野を広く持ち、様々な症例を理解し、専門性の高い手術室看護ができる部署を目指したいです。また、スタッフたちは公言していないだけで、ひそかにやりたいことがあるスタッフもいるようです。尻込みしているのであれば、踏み出せる後押しをしてあげたいと思います。たとえハードルの低い資格などであっても、取得できるものから取得して、他のスタッフも「それなら、私も」と少しずつチャレンジする人が増えていけば、手術室全体のレベルアップにつながると思います。あくまで、仕事をするために集まっているので、低いレベルでわかり合う仲良し集団にはなりたくはありません。お互いに、声を掛け合い、助け合う職場風土の中で、一人ひとりが高いレベルを目指して、教え合い、学び合い、共に成長できる職場でありたいと思います。また、手術室は出産してからも働いている人が多く、それは職場に理解があり、とても復帰しやすい環境にあります。ネガティブな気持ちを持って手術室を離れたいという人が一人もいない「幸せな手術室」で目指したいと思います。