個別性を捉えて一人一人に合った支援に繋げるための情報収集

入退院支援室 赤谷 智美

 私は元々記憶力に自信がなく、暗記系の教科は苦手でした。年々さらに衰えを感じ、自分の子供の誕生日も西暦だと何年?と考えてしまうほどです。看護師として、患者さんのことはできるだけ覚えていたいと思います。患者さんに覚えて貰えているのは嬉しいもので、きっとそれは患者さんも同じはず。自分のことを理解してくれているという安心感にもつながり、よりよい関係性を築くことができると思います。しかし、記憶力の悪い私にとって名前だけ聞いてもすぐに思い出すのは難しく、カルテをみて、顔写真でもついていたらいいのに…と思いながら記録を辿っています。

 入退院支援室では入院前から患者さんの身体的・社会的・精神的側面を把握し、患者さんにとって最良の医療サービスを提供するとこが目的の一つです。主にアナムネ聴取を行っていますが、私は決まった質問だけして同じような情報を残すのではなく、できるだけ“ほかに何か気になることはないか”を聞き出し、話されていた内容から必要な事に関連付けて記録に残すよう心がけています。

 こんな仕事をしている。人に懐かない犬を飼っている。ぼーっと生きてんじゃねーよ!が格言。魚の骨がのどに刺さったのがきになる。昭和の歌謡曲が好き。自分はさみしがりや、人見知りで遠慮しがち。患者さんは様々なことを話してくださいます。こんな情報必要?と思うこともあるかもしれませんが、私はできるだけ記録に残しています。ちょっとした情報からも、だから受診が遅れたのか、だから病状が悪化したのか、対応でこんなことに配慮するといいかな、など気がつける点も多いと思います。そういった様々な情報は、患者さんをより詳しく理解することに繋がり、記憶に残りやすいのです。

 入退院支援室は患者さんの話をしっかり聴ける貴重な場だと思っています。最近は入退院を繰り返す患者さんには「前回こうでしたが、今回はどうですか?」「あのことはどうなりましたか?」とより親密に話ができるようになってきたと感じています。病状の経過や生活状況はもちろん、性格や考え方、何を大切にしているか何が心配なのか、個別性を捉えて患者さん一人一人に合った入院治療や看護の提供に繋がるように努めていきたいと思います。