患者さんと深く関わるためにも、病棟看護師の情報共有を大切にしたい

手術室 黒澤小織

 私が手術室看護師として患者と関わる際、先輩看護師から言われてきたことは病棟看護師との情報共有の重要性についてだ。そのことを実感したのは当時働いていた病院で緊急手術にて気管切開を行う患者を受け入れた時だった。患者入室前に電子カルテで情報収集をし、医師との電話連絡で患者本人、家族からの同意を取れたことを確認し、手術の準備をしていた。実際に患者を受け入れて、病棟看護師から申し送りを受けたときのことだった。「Aさんはタバコを吸う事が大好きで、家族と会って話をすることを楽しみに入院生活を送ってきた。あまり家族と話せないまま手術室に来てしまった。」このような情報を病棟看護師に教えてもらうことができた。

 手術室の中だけでは患者と家族の関わりや日々の様子などは電子カルテ上や術前訪問、入室前の関わりだけで知ることはどうしても難しい。“本当にこのまま手術をすることが患者にとって最善なのか”“会話が難しくなる前にもう一度家族との時間を楽しみたいのではないか”と自分の判断に迷いながら先輩看護師、病棟看護師と相談し、医師の許可を得て、再度本人・家族の意志を確認し、少しではあったが会話をする時間を設けることができた。

 この出来事があってから、病棟看護師から教えてもらえる「緊張している様子でした」「家族と話して笑顔も見られました」等の患者の普段の情報を得る事の大切さも意識するようになった。日々の業務や忙しさに追われてしまいがちだが、術前訪問の際に看護師ともコミュニケーションをとることを心掛けて患者との関わりを深めていきたい。